林 英哲コンサート・シリーズ(1998〜)
「太鼓で芸術家へのオマージュを舞台作品化する」~林 英哲
かつての日本の伝統にはなかったテクニックと体力を要する大太鼓のソロ奏法の創造、多種多様な太鼓群を用いた独自奏法の創作など、まったく新しい様式を伴った音楽的な試みをつぎつぎと行い、伝統の太鼓に現代的な生命を吹き込んだステージは、98年以後、津軽三味線の木乃下真市、尺八の土井啓輔をゲストに迎え、更に「英哲風雲の会」の若手太鼓打ち2名(神戸・和太鼓松村組)を率いての新ユニットによる構成で、毎年全国コンサートツアーを実施している。
毎回のステージ内容は、林 英哲自身がインスパイアーされた人物の作品や生き方をテーマに、作品創作やステージ構成の手掛かりとしている。98年には写真家マン・レイをヒントに「万零(マン・レイ)」、99年には江戸時代の異端の画家、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)をテーマに「若冲の翼」(特に「若冲の翼」ツアーは全国で大成功を納め、00年春の大阪、東京でのアンコール公演も実現、ライブCDの発売等多くの話題を呼んだ)。00年秋から01年の春まで21世紀をまたぐツアー第3弾は”孤高の画家・高島野十郎”の描いた光を取り上げ「光を蒔く人」と題して、同メンバーに風雲の会の2名を加え、グレードアップしたステージを展開した。
01-02年の第4弾のコンサート「澪の蓮」ツアーも15会場20公演で実施、年々そのステージングの魅力と期待感により全国各地での招聘が増えている。
また、ソロ活動20周年にあたる02年秋には「若冲の翼/Jakuchu 2002」と題して現在の最高の英哲アンサンブルによる初のUSA/JAPANツアーも実施。北米の聴衆を魅了した。その後11月には初の林 英哲コンサートをパリ「日本文化会館」で行なった。03年のツアーは長年の共演相手であり、林 英哲の一番尊敬するミュージシャン、ジャズピアニスト山下洋輔とのDUOアルバム『Ken-Kon林 英哲meets山下洋輔』発売記念コンサートツアー「乾坤価千金」を全国21会場23公演で実施した。
04年秋より、2年ぶりとなる04-05年の全国コンサートツアーを「レオナール われに羽賜べ」と題してスタート。洋画家藤田嗣治へのオマージュをニュー・アンサンブルで展開している。
13年から14年にかけて久々に新作が誕生、林 英哲の永遠のアイドル、美術家横尾忠則をテーマに、自身の半生を重ね合わせてのオリジナル舞台作品「迷宮の鼓美術少年」を発表、劇的創作舞台作品の最高傑作として各地で評価を受けた。
また、劇的創作舞台に延長として、八ヶ岳高原音楽堂において12年「光の道」発表、以後2年おきに新作のソロ・パフォーマンスを発表(12年「光の道」は後にダンテをテーマに「光の門」として完成、14年村山槐多をテーマに「槐多の残照」、16年には美術家ジョセフ・コーネルを取り上げ「コーネルの箱」発表)。演奏活動47周年(71年~)を過ぎてなお精力的に太鼓音楽の可能性を追求し続けている。
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